言葉の影響力

今回のWBCで改めて言葉の影響力というものを感じましたね。
それは、大会が始まる前にイチローが口にした「対戦する相手には、
向こう30年は日本には手は出せないなという感じで勝ちたいと思う」という言葉。
これは、イチロー的にはWBCに出てくる全ての国に対して言った言葉だと思うんです。
しかし、韓国側はそうは受け取らなかった。韓国に対しての言葉だと受け取ったようです
よね。まぁ、それだけイチローに実力があるからなんでしょうね。
その結果、「日本にだけは負けられない。」という気持ちにさせてしまった。
メジャー選手を集めたことで韓国も強いんでしょうけれども余計に勢いを
つかせてしまったところがあると思うんです。それが準決勝までの6戦全勝という
ことに繋がったんだと思います。そして、その結果がイチローが打席に入ったときの
ブーイングですよね。でも、イチローにとってはアレぐらいのブーイングは何でも
ないでしょうね。むしろ燃えさせたのかもしれませんね。
ただ、このWBCでのイチローの発言って結構過激なことが多いですね。
普段そんな発言をしない人だけに驚きますね。それだけこの大会で日本の力を
見せたいんだと思うんですけど。あとは、そう口にすることでチームメイトを引っ張る
意味もあったのかもしれないですね。
あと、言葉の影響力という点で言えば、かなり前のことなんですが、
近鉄と巨人の日本シリーズで、近鉄が3連勝で圧勝したあとで、ある選手が
「手ごたえがない。」というような感じの発言をしたんです。そしたら、次の試合から
巨人が4連勝して日本一になったということがありました。
言葉というのは、本当に気をつけないといけないものですね。
受け取る側にとっては力以上のものを出させることになるでしょう。ただ、その逆も
あるでしょうけどね。上手く言葉を使えれば力以上のものを出せるかもしれません。
今回のイチローの発言は、両方だったのでしょうね。
そして、自分自身への言葉かもしれないでしょうね。
後でわかったことですが、スポーツナビで以下のような記事がありました。

勝つべきチームは僕ら

イチロー外野手(マリナーズ)が、野球人の誇りを懸けた戦いに完勝した。試合前の練習で告げられた初の3番で3安打、2盗塁、1打点。そして、これまでの2度の苦い思いを晴らすような6−0の勝利。しかし自らも含め、日本の選手が感情をあらわにして、韓国ベンチに向けてガッツポーズをすることは一度もなかった。
「当然でしょう。野球はケンカではない。そんな気持ちでした」。しかし、今大会における韓国選手たちの振る舞いには闘志をかき立てられていた。
例えば2次リーグで日本に勝利した後、太極旗をマウンドに突き立てた者がいた。この日、5打席目の邪飛を捕球した三塁手は、そのボールを打者のイチローに向かって投げつけた。それ以外にも敬意を欠く行為が連続。大好きな野球が冒とくされた、と強く感じていた。
本当の強さやプライドは、プレーそのもので表現すべき。少なくとも、イチローの固い信条は日本野球で培われたものだ。「勝つべきチームが勝たなくてはいけない。そのチームは当然、僕らだと思っていた。きょう負けることは、日本のプロ野球に大きな汚点を残すことと同じ」。
絶対に負けられない韓国との3度目の顔合わせは、イチローにとってアスリートの尊厳を守る“聖戦”でもあった。
そんな志に、日本代表のメンバーは完全に同調している。「本当にいい仲間ができました」。チームリーダーが、やっと満足げに笑った。(サンディエゴ共同)